REPORT
レンサルティング®レポート01京都・名勝平安神宮神苑の池底の清掃プロジェクト
京都の平安神宮にある神苑は、全国でも有名な名園として知られています。2019年、この庭の4つの池の浚渫(ヘドロの除去)工事をアクティオが担当しました。このプロジェクトには、平安神宮宮司の熱い思いが込められていました。
プロジェクト概要
平安神宮は、明治28年の遷都1100年を記念して建立され、神苑は小川治兵衛が20年以上かけて作り上げた名園です。1975年に国の名勝に指定された美しい庭園で、4つの池が社殿を取り囲むように配置されています。
2019年6月から9月にかけて、アクティオはこの庭園の池のヘドロを除去する工事を行い、総面積7,203㎡の池から4,763tのヘドロを除去しました。総動員人数は1,798人、工事期間は125日でした。
この工事は、アクティオから平安神宮への「奉納」として実施され、歴史ある庭園を守り、そこで生きる生物の命を救うことを目的とした社会貢献事業の象徴です。
絶滅しそうな魚を救うために
平安神宮の池底清掃プロジェクトは、2018年に平安神宮の本多宮司とアクティオの小沼光雄会長が出会ったことから始まりました。本多宮司は、絶滅危惧種のイチモンジタナゴが池底のヘドロのせいで激減していることを打ち明け、小沼会長はアクティオがその工事を奉納することを約束しました。イチモンジタナゴは琵琶湖から平安神宮に移り住んだ美しい魚で、二枚貝のエラに卵を産み付ける習性があります。このプロジェクトは、宮司の熱意と会長の心意気により実現し、多くの困難を乗り越えました。
プロジェクトの始まりと準備
平安神宮の池底清掃プロジェクトは、エンジニアリング事業部西日本営業部の大麻敏雄部長と技術部の船橋晃祐課長が指揮をとりました。2018年10月に計画が立案され、ボランティアとしての活動だったため、通常の仕様書や見積書がないことに戸惑いながらも、「最高品質を目指す」という方針で進められました。
工事は、池に作業用の台船を浮かべる予定でしたが、国の許可が必要で制約が多いため、直接池に入り手作業でヘドロを吸引する方法に変更されました。作業期間は京都の暑い夏の間に限定され、準備期間も含めて6月から9月までのスケジュールで行われました。
作業の困難と解決策
池の深さが平均60㎝で、30㎝のヘドロが堆積しているため、台船を浮かべることができず、手作業でヘドロを吸引することになりました。工事期間中は観光客や結婚式のシーズンと重なっており、限られた期間で作業を完了するためのプランが立てられました。
吸い上げたヘドロの処理には、真空ポンプやスクリューデカンタを使い、コンパクトなプラントを構築しました。現場での作業は、泥の吸引量や凝集材の調整に試行錯誤を繰り返しながら進められ、最初の一ヶ月は困難が続きましたが、次第に作業員のコンビネーションが良くなり、効率が上がっていきました。