夜間工事に欠かせない機械が、投光車や投光器といった照明機器。総合建設機械レンタル業の株式会社アクティオは、新商品となる「緊急脱出付LEDハイブリッド式投光車」「HID軽トラック投光車」を開発。今回は開発秘話を交えながら、両車の特長を紹介いたします。
以前、投光車と言えば水銀灯1000W×6灯の発電機10kvAが主流でした。それが従来型ではLED300W×6灯の発電機3kvAとなり、省エネ、CO2削減を達成した上で、水銀灯1000W×6灯と同等の照度を確保しています。
今回開発した「緊急脱出付LEDハイブリッド式投光車」は、ディーゼルエンジンとバッテリーのハイブリッド発電装置を搭載。交流100Vでバッテリーを満充電後に、LED300W×6灯を4時間点灯。バッテリー残量が低下すると自動的にエンジンを始動し、エンジン発電機側から電源供給・バッテリー充電をする「ハイブリッド運転」となり、1時間エンジン始動→40分バッテリーを3回繰り返します。その後は7時間のエンジン始動が必要となりますが、最後まで投光は継続します。
市場にはバッテリー式の投光車も存在しますが、荷台を埋め尽くすほどのバッテリーを搭載する必要があり、その充電にもかなりの時間が必要です。「緊急脱出付LEDハイブリッド式投光車」は、エンジン始動時間を極力短くした上で長時間点灯が可能。さらに荷台には積載スペースが残されているため、水洗トイレや多少の資材なども運搬可能です。
従来型同様、今回のLEDハイブリッド式投光車も“緊急脱出付” となります。夜間工事に求められるのは、静粛性だけではありません。鉄道や空港などが現場の場合は、交通インフラが停止している間に確実に作業を終える必要があります。万が一、車両のエンジンにトラブルが発生し、再始動が不可能となった場合、迅速に車両を作業現場外に退避させなければなりません。投光車の場合は伸びたアームや張り出したアウトリガーを、油圧によって格納しなければなりません。その油圧が確保できない最悪の状況では、ガス切断機などを使ってアームやアウトリガーを切断し、移動できる状態にして脱出させる必要があるのです。
「緊急脱出付LEDハイブリッド式投光車」には、緊急脱出ユニットを接続可能な接続口が設けられています。これにより投光車側で油圧が確保できない場合でも、バイパス回路を使って緊急脱出ユニットから供給される油圧により、アームやアウトリガーの格納が可能となります。また最近の機械の中には、油圧をバイパスさせても電源がないと作動ができない仕様もあるため、緊急脱出ユニットは専用電源供給ケーブルによりDC12V/24Vの電力供給も可能です。
この他、株式会社アクティオでは、バックホーやクレーン 他、道路工事機械にも緊急脱出接続口を設けた車両をラインナップ。撤収時間がシビアな現場でのリスクマネジメント対策として、緊急脱出ユニットが接続可能な車両の使用が期待されています。
軽トラック投光車として最適な組み合わせが、バッテリーを電源としたHIDです。LEDはW数を上げないと光束(照明器具の明るさの尺度)が上がらない特性があります。省電力で光束を上げるためにはHIDが有利で、このHID軽トラック投光車は、70WでLED300Wと同等の明るさを確保しています。なお、バッテリーは交流100Vの満充電(約8時間)により、連続で約20時間点灯します。
もともと小型の投光器は、手押しの400W×2灯式/400W×4灯式が主流でした。現場までトラックに積んで運び、ユニックで降ろし、押して移動。工事が終わったら、また積み込む必要がありました。この手間を解消するために開発されたのが軽トラック投光車です。軽トラックならではの機動性を発揮し、狭い現場でも活躍できます。
軽トラック投光車を開発する際、HIDの電源となるバッテリーは荷台に積載すればOKですが、アームやアウトリガーを作動させる油圧をどうやって発生させるかが課題となります。電動モーターで油圧ポンプを回す方法もありますが、発生できる油圧に限界があるため、アームやアウトリガーがスピーディに作動しません。そこで注目したのがダイハツ製ハイゼット多目的ダンプです。ダンプの駆動方式にはPTO式と電動モーター式があり、PTO式はエンジンの回転力をトランスファー(駆動力分配器)に取り付けたPTO(パワー・テイク・オフ)装置で取り出し、油圧ポンプを回します。この方式であれば十分に必要な油圧を確保できます。株式会社アクティオはダイハツ工業株式会社様と交渉を重ね、ラインナップにない平トラック仕様のPTO式ハイゼットを特別生産していただくことで、今回のHID軽トラック投光車の開発が可能になりました。
全長6メートルのアームをスピーディに作動でき、さらに車体の安定性を保つアウトリガーも設けられたHID軽トラック投光車。軽トラックの投光車は約30年前にも存在していましたが、時代の流れとともに廃番になった経緯があります。それを新しい仕様で復活。この柔軟性が株式会社アクティオの強みでもあります。
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投光車
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